The Doppler Quarterly (日本語) 春 2018 | Page 45

多くの業界が、サプライチェーンの プロセスの高速化、制御、および 検証に役立つ ブロックチェーンテクノロジーに 注目しています。 夕食時の家族での団欒において、食品のサプライチェーンやロジスティクス、原産地といった 話題で盛り上がることは 少ないかもしれませんが、これらはいずれも、何も知らずに穏やか に過ごしている私たちの日々の生活に影響を与えています。たとえば、夕食の場面を見てみる と、皿の上に置かれた、おいしそうに焼けたサーモンの切り身は、はるばる中国からやって来 たものかもしれず、人参やアスパラガスは、ペルーから船で運ばれてきたのかもしれません。 また、季節はずれの新鮮なフルーツは、チリやメキシコが原産国かもしれません。これらのす べてを産地から新鮮な状態で夕食のテーブルにまで届けるのが、サプライチェーンなのです。 食品はスピードが重視されるものであるため、検討するのに絶好の例と言えます。食品は、最 終目的地に送り届けられるまでに非常に長い距離を移動したり、多様な輸送手段を利用し たり、国境を越えたり、さまざまな検査や審査を受けたり、税関申告書に記録したり、国内外 や地域内の輸送の状況を追跡したりしなければなりません。サプライチェーンやロジスティク ス、および原産地はいずれも、食品を夕食のテーブルにスムーズに届けられるかどうかを左 右する重要な要素です。サプライチェーンで成功を収めるには、 「証拠の連続性」( 誰がいつ 何をしたのか ) と「一連の出来事」( 検査、税関審査 ) を追うことが非常に重要です。 サプライチェーンとブロックチェーンの関係 食品を一例に挙げましたが、サプライチェーンは基本的に加工されるすべての物理的な物品 の基盤となります。食事のときに使用する皿、皿を置くテーブル、食事を取る家を建てるため の材木や資材などはすべて、サプライチェーンを経由して目的地に届けられます。 あらゆる業種の枠を超えて存在するサプライチェーンには、きわめて複雑で管理とサポート が難しいプロセスが伴うため、多くの業界が、サプライチェーンのプロセスの高速化、制御、お よび検証に役立つブロックチェーンテクノロジーに注目しています。 ブロックチェーンとは、分散型台帳技術です。すなわち、暗号通貨の世界を支える基盤テクノ ロジーです。Gartner 社が発表した新しいテクノロジーのハイプサイクルに関する最新のレ ポートによると、ブロックチェーンはすでにハイプサイクルの曲線のピークを越えており、それ に関するニュース記事に目を通すと、ブロックチェーンがテクノロジーの世界を席巻している 2018 年春号 | THE DOPPLER | 43