The Doppler Quarterly (日本語) 春 2017 | Page 56
変更管理のパフォーマンス曲線
変更に対する従業員の反応
抵抗
パフォーマンスとモチベーション
連携
恐怖と不安
第 4 フェーズ :
新たな自信と
継続的な改善
第 3 フェーズ :
統合
第 1 フェーズ :
最初の興奮
第 2 フェーズ :
成果の実現と複雑化
中止の可能性に
疑問を持つ
熱意
時間
図 1: 変更に対する従業員の反応
第 1 フェーズ : 最初の興奮
初期のフェーズでは、人々はまず興奮し、クラウド採用プログラムが企業にどのような利益を
もたらすかについて、先入観を持っていません。このコンテキストでは、現状にまったく変化が
ないように思われます。関連のチームは、チームに期待されることと反応の仕方を直接的ま
たは間接的にほぼわかっています。新しいイニシアチブは通常のプロジェクトのように映りま
す。すべての参加者が、既存のプロセスガイドラインを使用して、プログラムの各通過点を簡
単に進むことができます。
第 2 フェーズ : 気づき
徐々に詳細がわかるにつれて、従業員は、イニシアチブが自分とチームの役割にどのような影
響を与えるかを尋ね始めます。さらに情報を得ると 索を始め、プログラムが何をもたらす可
能性があるのかを把握し始めます。その可能性を持つ変化がどれくらいのボリュームになる
かに「気づく」
ようになります。態度が協力から抵抗に変わっていき、拒否や牽制など複数の
否定の表し方で逃避しようとします。次に、
「どの道すぐに終わる」や「私たちは特別です。独
自のビジネス要件を考えると、クラウドは私たちの業務では効果がありません」
などとコメント
し始めます。
この「気づき」のフェーズは、クラウド採用ライフサイクルで最も重要な時期です。質問に回
答がないままになると、従業員はほとんどの場合、情報の足りないストーリーを自作し始めま
す。こうした誤ったストーリーに加え、恐れやパニックなど、あらゆる負の感情が従業員のモチ
ベーションを支配していきます。非現実的な目標や詰めの甘い実行プランをわざと計画したり
して、自分やチームが「クラウドを採用しないですむ」
ための理由を作ろうすることさえありま
す。行き過ぎた分析や設計を行ったり、物事を不要に複雑にしたりなど、牛歩戦術を模索する
かもしれません。もはや個人の目標が、企業の目標と一致しなくなっています。従業員は、雇
用者のビジネス目標にかかわらず、何としても現状を維持しようとします。
54 | THE DOPPLER | 2017 年春号