The Doppler Quarterly (日本語) 春 2016 | Page 54

下のグラフは、 1 つのエンタープライズアプリケーションに対し、リフトアンドシフト、リファク タリング、コロケーションの各手法の間で会社の合計ランレートを比較した結果を示してい ます。このモデルでは、コロケーションのランレートが最初は低くなっていることがわかりま すが、時間と共に大幅に増加しています。一方、クラウドのランレートは同じ割合で増加する ことはなく、多くの場合、コンピュートやストレージのコストが徐々に下がるため、上昇率は低 下します。 このアプリケーションでは、アプリケーションのリフトアンドシフトが実施される場合は 6 か月、アプリケーションに大幅なリファクタリングが必要な場合は 18 か月で投資が回収さ れます。もちろん、リフトアンドシフトとリファクタリングのいずれの場合も、移行のコストは 削減の額と達成時期に影響を与えます。最終的な決断を下す前に、それぞれの手法の現在 と将来のランレートを検討する必要があることに注意してください。 1 つのエンタープライズアプリケーションの合計ランレート比較 1 日目 1 年目 リフトアンドシフト 2 年目 コロケーション 大規模リファクタリング 1 つのエンタープライズアプリケーションのアプリケーションレベル分析。 このタイプのアプリケーションレベル分析では、クラウドへの追加投資について、 緻密なデータに基づいて導入理由を説明できることがわかります。 今後の予測 クラウドは、組織が IT 部門の運営方法を変える絶好の機会をもたらします。クラウドを利 用すると、 IT 部門は従来よりはるかに有益な影響をビジネスに及ぼし、戦略的目標に足並 みを えることができます。また、会社のリソースを無駄にすることもなくなるため、多くの 企業は、クラウドによる新たな効率化とアジリティが最終的な収益に大きな価値を付け加 えることに気付くでしょう。結局のところ、 IT 部門の目的はビジネスのニーズを満たすことに 他なりません。 クラウドがもたらす確かなコスト節減に異議を唱える人はほとんどいませんが、アジリティ の価値やその他のソフト面のメリットを明確に規定する魅力的なビジネスケースを作成する ことは必須事項です。クラウドの導入に経済的な意味がない稀なシナリオがあることを記 憶に留めておくことは重要ですが、一般的には、 ROI を高めて TCO を削減できることがわ かるでしょう。最後に、コストとメリットの詳細を把握するには、ビジネスケースを定義してモ デルを実行する必要があります。 52 | THE DOPPLER | 2016 年春号