The Doppler Quarterly (日本語) 春 2016 | Page 47

クラウドの価値は、そのアジリティが ビジネスにもたらす価値に比例します。 迅速に変化する必要があるほど、 その価値は高くなります。 使用率と密接に関連しているのは、 IT インフラストラクチャがスケールアップおよびスケー ルダウンしてビジネス・アジリティをサポートできる能力です。基本的に、使用率が高いほ ど IT の費用は少なくなりますが、アジリティが制限され、イノベーションやビジネスの成長 に悪影響を与えます。反対に、クラウドでは ( ほぼ 100% の使用率を実現して ) 大幅な節 減が可能となり、ほぼ無制限のアジリティがもたらされます。このアジリティの価値は数字 で表すのが難しいため、しばしば無視されてしまいますが、それは大きな誤りです。 アジリティの価値を数値化する クラウドのビジネス価値は、他のコスト関連の事柄よりも、アジリティと使用率に関するも のが多くを占めています。クラウドには、完全に制御されたほぼ無制限のリソースを必要に 応じてプロビジョニングおよびデプロビジョニングする機能があることを考慮してください。 20% から 100% 近くの使用率に移行できることは、コスト上の大きなメリットだけでなく、 ソフトウェアやハードウェアの調達とインストールを待たなくてもビジネス上の問題をすばや く解決できるという、さらに大きな価値をもたらします。企業がクラウドを導入すると、新し い市場への参入、新規顧客の受け入れ、コンプライアンス違反の回避といったことが可能 になり、迅速な変革が必要な場合にも対応できます。同時に、ハードウェアやネットワーキン グのリソースを十分に活用することも可能になります。 数値化がより難しいのは、実行に移された数え切れないほどのアイデアやプロジェクトの価 値です。これらは、リソースが 3 ∼ 6 か月後にプロビジョニングされるまで他の取り組みが 優先されるため、結局、行き詰まってしまうか優先順位が低くなってしまいます。クラウドの アジリティを活用すれば、プロジェクトを 24 時間以内に構想してプロビジョニングし、展開 できるようになるため、リアルタイムの計画と実行が可能になります。 クラウドの実際のコストとメリットを明らかにする クラウドの ROI 計算のほとんどは、アジリティを考慮しておらず、使用率が低いハードウェ アのコストを完全に反映していません。CapEx と OpEx の差異を示すチャートは、クラウ ドの潜在的な価値を見出すのに役立ちますが、その全体像を明らかにするには、さらに詳 細な評価が必要です。 以降のページでは、 CapEx と OpEx を単純に比較して判断するのではなく、主要な企業が クラウドの真価をどのように算出しているかを見ていきます。 2016 年春号 | THE DOPPLER | 45