The Doppler Quarterly (日本語) 春 2016 | Page 42

フォグコンピューティングの構成要素は 「モノ」 とコネクティ ビティです。前者は、データを保存、検出、分析できる IP 対応デバイスです。後者は、さまざまな「モノ」 からリアルタ イムで送られるデータパケットに対し、接続、通信、セキュ リティの確保、変換を行うための多種多様なテクノロジー です。 グローバルインフラストラクチャ モノのインターネットを構成する次のテクノロジーセット は、そのグローバルインフラストラクチャです。多くの IoT アプリケーションでは、グローバルに分散している複数の データセンターが必要であり、オンデマンドで拡張できる ことが求められます。社内のデータセンターを使用して IoT アプリケーションを構築しようとする企業もありますが、 データの要件がペタバイトやエクサバイト単位に急増する と、人的資本と計算資本の両方を費やしてこれらのアプリ ケーションをリアルタイムで拡張する試みはすぐに不可能 になります。IoT は、クラウドコンピューティングと従量制 課金モデルの典型的なユースケースです。 大手 3 社のパブリッククラウドプロバイダー (AWS、 Goo- gle、 Microsoft) はいずれも、強固な IoT 機能を市場に送 り出しており、 IoT アプリケーションを構築するアプリケー ション開発プロセスの単純化と高速化を実現しています。 データのロケールルールは国によってさまざまであるため、 プライベートやハイブリッドのクラウドソリューションも、こ の領域で健闘するでしょう。主要なクラウドプロバイダーと 統合できるスタンドアロンの IoT プラットフォームも増えつ つあります。 ビッグデータ 「フォグ」内のデバイスで処理されるスモールデータは、 「何」が発生しているのかを表します。ビッグデータは、そ れらのデバイスからリアルタイム、ほぼリアルタイム、また は一括で収集され、仮想データセンターや物理データセン ターに転送されるデータです。データセンターでは、データ の取り込み、スクラブ、集約が実行され、 「なぜ」の質問を 理解するための分析にデータを利用できるようになります。 たとえば、店舗の近くに来た人物にセール情報を送った小 売業者は、一連の分析を実行することで、その人物が購入 する可能性、小売業者に対するロイヤルティ、さまざまな セール情報が購入行動にどれほど有効であったか、その 他数多くのユースケースについて判断できます。 梱包会社や運送会社は、データを調べることで、地理、天 気、運転手、梱包、道路状況、車両の種類が、ある出来事 が起こる可能性にどのように影響するかを把握できます。 その結果を元に、人員、プロセス、テクノロジーを変更し 40 | THE DOPPLER | 2016 年春号