The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2017 | Page 65

従来の物流プロバイダーの多くが同社に恐れをなし ているのは明らかです。 サプライチェーンのすべての当事者は、可視性の向上、稼働率の向上、より確実な定時運行、 およびコストの削減によってメリットを得ていますが、正直なところつい最近までは、コストが かかりすぎるため、このようなことは行われてきませんでした。 しかし今日では、価格力学を大きく変えるいくつかの重要なテクノロジートレンドが同時に発 生しています。 • 低コストのセンサーなど、それ自体に一連の技術進歩を含むモノのインターネット(「IoT」) は、全世界のデータ通信のコストを低下させ、バッテリの寿命を大幅に延ばしました。 • 一見無関係な情報を含む膨大なデータセットを絶えず分析できる機械学習(「ML」)と ビッグデータを使用すれば、有益な予測と提案を行うことが可能です。 • パブリッククラウドは、コンピューティングのコストを大幅に減らすとともに、それを CAPEX から OPEX に移行させ、 ML モデルを実行するためのほぼ無制限のコンピュー ティング容量に対するオンデマンドアクセスを提供します。 これが重要な理由 ではここから、これが実際にどのような効果をもたらすのかについて、いくつかの実際のシナ リオを見ていきましょう。 200万個を超える貨物コンテナーを所有する3 大船会社の 1 つは、自社の資産がどこにあり、 それらがいつ戻ってくるのかを十分に把握できていないことが原因で世界中に「空のコンテ ナーを輸送」することになり、 10 億ドル以上もの無駄が生じているということを公に認めまし た。この会社だけでなく、こうした問題は資産を追跡していないほぼすべての船会社に影響 を与えています。 ここでもう 1 つ、物流業界全体に影響を与えている別のケースを見てみましょう。 Apple 社は、毎年 9 月に報道機関向けのイベントを開催して iPhone の新バージョンを発 表しており、これが Apple 社からの直接購入と小売流通パートナーからの購入両方の大幅 な増加につながっています。しかしこの裏では、同社と契約しているアジアの部品製造パート ナーが慌ただしく製品を組み立て、全世界への出荷に向けた準備を進めています。 この影響は非常に大きく、発売の前後は、深センと香港のほぼすべての港湾と物流機能が数 か月間塞がってしまい、小規模な顧客や荷送人はいつも、その地域からの製品の移動に苦 労しています。そしてこれによって、納品までの時間が 2 倍 ( 場合によってはそれ以上 ) にな ることがあり、ホリデーシーズンに向けた仕入れを行おうとする多くの企業に影響が出てい ます。 これらの企業は、倉庫や配送センターに在庫を置いておくために、真夏までに製品を出荷し てラッシュを避けようとはしないのでしょうか。それらの製品は納期に間に合うのでしょうか。 2017 年夏号 | THE DOPPLER | 63 Amazon 社は、 1PL、 2PL、 3PL、 4PL、および 5PL の属 性を 1 つに融合した企業です。