The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2017 | Page 62

物流の自動化で 海運業界の 破綻を回避 Scott Udell IoT と機械学習は全世界の物流に革命をもたらしてい ます。 商品や資材を適切なタイミングで適切な場所に、適切なコストで移動させるビジネスである 物流は、世界で最も古い業界の 1 つです。ギリシャ帝国は優れた物流ネットワークによって勢 力を拡大することに成功しましたが、それを広げすぎたことが衰退の大きな原因になったと も言えます。とは言え、その強力な物流ネットワークの遺産は現代まで引き継がれ、ギリシャ は今もなお、海運業界で世界をリードしています。 数千年の時を経て、私たちの期待はあらゆる面で高くなり、製品のライフサイクルは大幅に短 縮されました。 コンシューマーは 12 か月ごとに ( またはそれより短いサイクルで ) 電子機器の大幅な改良を 期待しています。また、在庫が足りなくなったり、世界中のあらゆる場所に 2 日以内に荷物を 届けられなかったりすると、短期的には取引がなくなり、長期的には (AndroidとiOSなどの) プラットフォームの切り替えが決まって顧客を失う可能性があります。 「ファストファッション」は、予測可能な 12 か月間のプランニング/ 製造 / デリバリサイクル に依存してきた従来のアパレルビジネスを完全に崩壊させました。そしてこのような流れの 中、これまでの統合型ブランドが市場シェアを失う一方、より速く低コストで市場に製品を展 開し、迅速に次の波に乗る小売業者やメーカーが成功を収めています。 グローバルな海運業界が利益の面で非常に大きな圧力に直面するのと同時にこのような動 向が見られるようになったのは、偶然ではありません。 物流ネットワークを利用する企業はいずれも、可視性の向上を求めています。そして海運業界 がプロセスに関わる多くの当事者をどのように分類しているのかを知れば、この課題の複雑 さと大きさをより深く理解できます。 60 | THE DOPPLER | 2017 年夏号