The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2017 | Page 59

「ロボットに仕事を奪われた」 人工知能が招いた予期せぬ結果 David Linthicum 編集後記 Doppler Quarterly 2017 年冬号のカバーストーリーである「ディスラプターにならなければ破壊される」では、 企業が競争力を得るためにどのように指数関数的に進化するインターネットベースのテクノロジーを活用してい るのかを考察しました。この記事は、デジタル世界で生き残るために今日の企業が導入しなければならない、破 壊的なテクノロジーと戦略を取り上げる連載シリーズの第 2 弾です。 世界経済フォーラムは、自動化と人 工知能 (AI) により、 2020 年までに全 世界で少なくとも 500 万人が職を失 うことになると予想しています。確か に、ロボット ( コンピューター上の AI のプロセス ) は今後、私たちの生計に 影響を与える可能性がありますが、そ の大小は仕事によって異なります。 あらゆる業界に広がる AI (AI のサブカテゴリである ) 機械学習 (ML) は、人間より効率 ウドベースの処理機能を使用するヘッジファンドの管理者は、 的に膨大なデータを処理してタスクを完了させることができる だけでなく、実際に学習します。ML モデルをセットアップする と、 ML は経験やその他のデータに基づいてさまざまな結果を 把握し、それらを蓄積します。 ここでは、銘柄を選ぶ AI のプロセスを見ていきましょう。人間 の側から見ると、ヘッジファンドのアナリストは経営実績、過去 の株価、将来の見通しなど、取得可能なすべてのデータを確認 し、それらのデータと経験に基づいて、上昇すると思われる銘 柄を選ぶことができます。 ここでたとえば、銘柄を選ぶアプリケーションを ML エンジ ンに結び付ければ、そのアプリケーションがアナリストと同じ データについて考えるとともに、 1,000 人の金融の専門家の知 識と経験を取り込めるようになります。そして、ほぼ無償のクラ このようなプロセスを必要なだけ用いることができます。そうす ると、情報の処理速度が 100 万倍になって銘柄の選択とグラ フの作成が数秒で行われるようになり、ボーナスを含めて 1 年 間に 100 万ドルの給与を得ているヘッジファンドのアナリスト が、 1 か月に 1,000 ドルのコストで済むクラウドインスタンスに いともたやすく取って代わられることになります。 2017 年夏号 | THE DOPPLER | 57