The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2017 | Page 56

クラウドプロバイダーは、テクノロジーを利用しやすくしているだけでなく、市場投入期間を 大幅に短縮するとともに、導入コストを大きく削減しており、ゲノミクスや宇宙研究をはじめと する業界の企業において、オンプレミスの DIY モデルでは行うことすらできなかった研究が 可能となっています。 European Radar のネットワークの 履歴データ Cloud Dataproc 上の Apache Spark 時間平均 Cloud Dataflow Cloud Machine Learning EngineCloud Machine Learning Engine BigQuery 作成したモデル 風車のセンサーの 履歴データ Cloud Storage 出典 : Google Source: Google Cloud Cloud Platform Platform 図 2: Google Cloud Platform のビッグデータアーキテクチャーのサンプル モノのインターネット データセンターやクラウドの外部にあるエクサバイト規模のデータを処理しなければならな いことから、モノのインターネットはまったく新しいテクノロジーの課題をもたらしています。独 自の IoT アーキテクチャーを構築するには、膨大な作業が必要ですが、何も恐れることはあ りません。パブリッククラウドプラットフォームには、デバイスと連携するとともに、 IoT のプロ セスを簡素化して無駄をなくすのに必要な取り込み機能、セキュリティフレームワーク、ワーク フロー、およびインフラストラクチャを提供する一連の API が備わっているうえ、 AWS 社は、 いくつかの大手チップメーカーとパートナーシップを締結し、開発者がエッジの外部で処理 を行える SDK をチップに組み込んでいます。 クラウドには他にもメリットがあり、 IoT アプリケーションを構築する設計者は、これまでに別 のアプリケーションを構築する作業の過程で生み出された、既存のセキュリティ、ネットワー キング、および展開アーキテクチャーを活用することが可能です。これこそが、クラウドプロバ イダーが顧客にアピールしているメリットであり、クラウドの成熟度が増すと、企業は IoT、イ ンテリジェントアプリケーション、ブロックチェーンといったより高度なテクノロジーに移行す る際に、既存の投資をベースにそれらを構築できるようになります。また、新しいマネージド サービスは、それぞれが既存のセキュリティ、ロギング、およびモニタリングフレームワークと 完全に統合されます。 今後の展望 IoT、 3D プリンティング、ロボティック、バーチャルリアリティ、拡張現実、ドローン、およびその 他多くの新しいテクノロジーはすべて、何らかの形でクラウドを活用しており、膨大なデータ を生成するか、データを処理して分析するさまざまなアルゴリズムを実行します。パブリックク ラウドでは、きわめて安価なストレージが提供されますが、このようなストレージと多数のマ ネージドサービスを組み合わせれば、考えていた以上に低コストで、しかも迅速に革新的なア イデアから新たなソリューションを生み出すことが可能になります。 54 | THE DOPPLER | 2017 年夏号