The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2017 | Page 53
この事実から得られる教訓は、業界内でどれだ
け優位な立場にある企業でも、決して現状に満
足してはならないということです。どの業界でも、
新たなテクノロジーの登場は変化と混乱を引き起
こす最大の要因の 1 つとなっており、傍観者の立
Gartner 社
2017 年の 戦略的テクノロジーの
10 大トレンド
場をとって、こうした新しいテクノロジートレンドの
リスクを避ける企業は、次の Blockbuster 社や
インテリジェント
Kodak 社になってしまいます。しかし、それより
恐ろしいのは、このような新しいテクノロジーを導
入した企業がきわめて迅速にイノベーションを推
進できる一方、その導入に慎重な企業が後塵を
拝してしまうということです。このように、現在で
はビジネス・アジリティが新たな要件となってい
AI と高度な
機械学習の応用
インテリジェントな
アプリケーション
ます。
インテリ� �ェントなモノ
デジタル
これらの戦略的テクノロジーには、以下のような
いくつかの共通の特徴があります。
• 大規模な処理を行うためのインフラストラク
チャが大量に必要
• ペタバイト、またはエクサバイト規模のデータ
バーチャルリアリティと
拡張現実
デジタルツイン
ブロックチェーンと
分散型台帳
メッシュ
を取り込んで処理する
• 基盤となるインフラストラクチャ、データベー
ス、およびミドルウェアがきわめて複雑なた
め、 DIY (Do It Yourself) モデルで実装する
のが難しい
• これらのテクノロジーを活用するアプリケー
対話システム
メッシュアプリケーションと
サービスアーキテクチャー
デジタルテクノロジー
プラットフォーム
アダプティブセキュリティ
アーキテクチャー
ションの柔軟性が本質的に高い
これら 4つの特徴は、パブリッククラウドのスイー
トスポットに該当しますが、柔軟なアプリケーショ
gartner.com/SmarterWithGartner ( 英語 )
ンはオンデマンドのリソースに最適であり、これ
こそが、クラウドの主要なバリュープロポジショ
ンとなっています。予測できない需要の急増に対
応するために必要以上の容量を購入するというの
は、現在の立場を維持したいと考えている CIO
がこの時代にやってはならないことですが、プラ
イベートクラウドの支持者は、より低コストで制
御を強化しつつ柔軟性を高められると主張する
でしょう。これについては、別の日の別の記事で
反論することも可能ですが、こうしたクラウドプロ
バイダーが提供するプラットフォームの機能やマ
ネージドサービスを追加すると、その反論は無意
味なものとなってしまいます。
Google 社の BigQuery、 AWS 社の IoT ゲート
ウェイ、および Azure の Analysis Services をは
じめとするサービスは、開発者にとって素晴らし
いアクセラレータであり、複雑な IT の配管設備
インテリジェント、デジタル、
メッシュという 3 つのテーマが、
2017 年の戦略的テクノロジーの
10 大トレンドの基盤を形成して
いますが、これらのテクノロジー
は、新興の状態から抜け出して、
さまざまな業界で大きな破壊
的潜在力を発揮し始めたばか
りです。
- Gartner 社
2017 年夏号 | THE DOPPLER | 51