The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2017 | Page 42

クラウドベースの AI ソリューションは、 3 大パブリッククラウドプロバイダーである AWS 社、 Google 社、および Microsoft 社から提供されており、それぞれが大きく異なりますが、一部 共通するメリットと制限事項があります。 メリット これらのシステムは、運用コストが少なくて済み、 1 時間あたり平均数ドルで所有する AI アプ リケーションを実行できます。パブリッククラウドでも低コストのデータストレージが提供さ れ、 AI 対応のアプリケーションに入力されるデータを純粋なデータベースまたはストレージ システムに格納することが可能です。 最後に、これらのシステムではいずれも、大部分のプログラミング言語をサポートすると同時 に AI の機能を直接アプリケーションに組み込むことができる SDK と API が提供されます。 AI テクノロジーの真の価値は、アプリケーション内から使用できる点にあり、たとえば、ロー ンの申請書類に不正の可能性があるかどうかを判断して問題を即座に処理するためのプロ セスを示し、場合によっては申請者に間違いの修正と書類の再提出を許可することが可能で す。これらの種類の予測では、運用とトランザクションにより重点が置かれます。 デメリット 特定のパブリッククラウド上の AI システムは、それらのクラウドに強く結び付けられているた め、クラウド A で AI システムを使用する場合、一般的にはクラウド A のデータストレージの メカニズムが標準でサポートされます。ただし、オンプレミスのデータストレージシステムとク ラウドのデータストレージシステム間でデータを整合させなければ、エンタープライズデータ ベースはサポートされません。 クラウドプロバイダーの重要な価値は、ネイティブの AI システムを活用したときにもたらされ ますが、ネイティブのストレージシステムとネイティブのデータベースも併用するのが最善で す。また、アプリケーションは AI モデル、さらにはデータに頻繁にアクセスできる場合にクラ ウドプラットフォーム上で高いパフォーマンスを 発揮します。 もちろん、すでにデータ、アプリケーション、およびその他のプロセスをクラウドに移行しよう としている場合はそれで問題なく、ネイティブのクラウドサービスとして AI システムを利用で きます。ただし、大部分の企業と同じように、ハイブリッド環境またはマルチクラウドベースの 環境を使用している場合は、パフォーマンス、コスト、およびユーザビリティの点でデータと AI エンジンが切り離されていることが問題になります。AI が、より多くの企業をクラウドに 移行させるためのクラウドプロバイダーの目玉商品となっている可能性があることは明から です。 40 | THE DOPPLER | 2017 年夏号