The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2017 | Page 30
金融サービス業界における
クラウドの導入
David Linthicum
イノベーション、カスタマイズ、およびセキュリティによっ
て他社にはない競争力を得るために、クラウドを導入す
る金融サービス組織が増えています。
調査会社の MarketsandMarkets 社が発表した金融クラウド市場に関するレポートでは、
金融クラウド市場が CAGR 24.4% で成長し、 2016 年の 98 億 9,000 万ドルから 2021 年ま
でに 294 億 7,000 ドルの規模になると予想されていますが、こうした成長は、専門的なサー
ビスであるグリーン IT、そして顧客管理だけでなく、ビジネス・アジリティや市場中心主義に
対するニーズによって促進されると見られています。
このレポートで示された主な調査結果は、以下のとおりです。
• 予測期間中にプロフェッショナルサービスが市場の中心になると思われる。
• 多くの BFSI 企業が、生産性の向上、コストの削減、高度なデータ分析といった顧客アプ
リケーションのメリットを活かして競争力を強化し、長期的に利益を得たいと考えている
ため、この市場のアプリケーションの中で顧客アプリケーションが大きく成長を遂げると
思われる。
• 地域で見ると、インターネットが広く普及しているうえに経済が好調で、孤立したインフラ
ストラクチャからクラウドへの移行が進んでいることから、北米の市場シェアが最大にな
ると思われる。そしてこうした移行より、 CAPEX が減少して IT 管理の複雑性が低減され、
セキュリティとアジリティが向上すると考えられる。
ご存知のとおり、金融企業は一般的にテクノロジートレンドをいち早く取り入れ、長期間にわ
たってそれを活用していますが、クラウドも例外ではありません。上記のレポートの結論に示
されているように、また私たちが市場で見てきたように、金融サービス企業は以下のような理
由からクラウドベースのプラットフォームに移行したいと考えています。
28 | THE DOPPLER | 2017 年夏号