The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2017 | Page 3

ドップラー効果 私は、大学を卒業してすぐに人工知能 (AI) シ ステムを使い始めました。AI についてはサイ エンスフィクションの中で聞いたことはありま したが、 AI テクノロジーを使用してシステムを 構築するまでそのメリットを理解してはいませ んでした。これは 30 年以上も前の話なので すが、そのとき AI はなぜ普及しなかったので しょうか。そして 今になってなぜ普及しつつあ るのでしょうか。 簡単に言うと、その答えはクラウドにあります。 これまで、膨大な処理が行われる AI を使用 するには、求められるスピードでシステムを 稼働させるために多数のサーバーを配備した データセンターが必要だったため、企業が AI を活用したいと思った場合、単一のシステムに 数百万ドルの資金を投じなければなりません でした。さらに、大部分の企業がビジネスオー トメーションの初期段階で活用する論理プロ セスの観点から見ると、当時の AI の負荷は少 し高すぎました。 しかし現在では、どの企業も主要なクラウド プロバイダーが提供する機械学習サービスや その他の AI サービスを 1 か月あたり数百ドル で利用できます。こうしたサービスは、実装に 必要なコストと時間がこれまでよりはるかに少 なくて済むだけでなく、機能面も非常に優れ ており、これまでにないビジネス価値を実現す ることが可能です。 今号の The Doppler Quarterly で示すとお り、斬新な方法でビジネスの問題を解決する AI は、イノベーション、研究開発、 IT、データ サイエンスに至るまでのあらゆる組織で活用 されています。私たちは AI とクラウドのメリッ 「2020 年までに、人工知能は 30% 超の CIO の優先事項となる。」 「2021 年までに、サービスプロバイダーが実 装する新しいエンタープライズアプリケーショ ンの 40% に人工知能テクノロジーが搭載さ れるようになる。」 「2018 年までに、デジタルビジネスでは、従 来のモデルと比較してビジネスプロセスに携 わる必要がある従業員が 50% 減る一方、重 要なデジタルビジネスのジョブが 500% 増え る。」 実際のところ、早期導入者はより多くの人とシ ステムや「モノ」との直感的なやり取りを伴う システムと文化の変革を進める中で、競合相 手をはるかにしのぐ競争力を得ることになり ますが、これは新旧や規模の大小を問わず、 企業が AI とクラウドコンピューティングを使 用してシステムを作り変え、最終的に急成長 を遂げる革新的なビジネスを構築できるよう になることを意味します。私たちはこれまで、 Uber や Airbnb の成功事例を耳にすること はありましたが、イノベーションに関してはま だこれからで、 2017 年に始まったばかりです。 まだ AI のことをあまりご存知ない方のため に、今 号 の The Doppler Quarterly では、 クラウド対応の人工知能について説明しま す。ありがたいことに、クラウドと AI は連動し ているため、使いやすくコスト効率にも優れて いますが、ほとんど人は、ユースケースやビジ ネス価値の定義方法など、 AI のことをまだ理 解していません。皆様に今号をお読みいただ くことでこのような状況が変われば幸いです。 トを探る中で毎日のように新たな用途を見出 していますが、 AI はようやくビジネスで活用さ れるようになりつつあります。 AI に関する Gartner 社のアナリストの意見 は、以下のような点で一致しています。 Cloud Technology Partners SVP David Linthicum 2017 年夏号 | THE DOPPLER | 1