The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2016 | Page 8

Cloud Economics 2.0 クラウドの導入時に状況を明確にして コストを制御する方法 David Linthicum エグゼクティブサマリー 四半期ごとに発行される The Doppler の前号では、従来の CapEx と OpEx に関する 議論では考察されないことが多い、アジリティの価値やその他のソフトコストを考慮に 入れながら、クラウドの経済性について概説しました。本書では、今日の企業で重要 性を増しつつある、クラウドサービスのコストを監視するうえでの最善の戦略を明らか にします。 IT サービスが数年にわたって無秩序に分散していた時代が終わり、現在では再び、中 央の IT 部門で制御が行われるようになりつつあります。そして今後、クラウドベースの サービスの導入が進むと、使用量を監視してコストを制御し、主要関係者のニーズへの 対応に重点を置く事業部門を設けることが一般的になると考えられています。 私たちは、企業の IT 部門が複数の部門における既存のパブリッククラウドベースのリ ソースの使用量に対する制御を取り戻し、新しいクラウドプロジェクトのロールアウトを 管理するようになりつつある状況を目の当たりにしています。これは今、IT 部門が複雑 化し、コストを制御する必要に迫られていることを意味しますが、制御力が高まると、 それだけ責任が増すことになります。しかし今日では、クラウドやクラウド以外のシステ ムの現在および将来の価値を見極めるコア分析など、コストに対する IT 部門の可視性 を向上させる、実証済みのプロセスやテクノロジーが普及しつつあります。 クラウドによってアジリティが向上したことにより、IT 部門は数週間、または数か月で はなく、わずか数分でエンドツーエンドの環境を立ち上げることを求められていますが、 管理者が資本予算を使いすぎず、また今後それらを使い果たさないようにするは、ど うすればよいのでしょうか。 IT 部門は、常にシステムのコスト削減を求められているも のの、自動化されたアプリケーションや明確かつ有益な情 報を活用することなく、ただ闇雲に物事を進めてきました。 しかし、IT 部門が使用されているサービスとそのユーザーを正確に把握できる、専用 設計のソフトウェアソリューションが登場したことにより、クリティカルな IT 資産に対す る可視性と制御性が向上し、今では適切なサービスを適切なタイミングで、しかもコス 6 | THE DOPPLER | 2016年夏号