The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2018 | Page 80

展開する際に、役割、プロセス、ツール、チームワークを変更する必要がありました。こうし た変更が、運用グループ内のさまざまな役割に影響を与えました。各リーダーの協力体制を 構築し、早期に結果を出し、関係者と連携し、実行を管理するという、周知のアジャイル変更 管理の原則および技術を適用することにより、 CI/CD 自動化の導入は成功し、全社でソフト ウェア開発サイクルの時間を大幅に短縮できました。 変革は、より包括的な問題領域です。変更管理と異なるのは、明確に定義された個別の変更 成果に重点を置くのではなく、相互に依存するか、または緊密に連携するプロジェクトのポー トフォリオに重点を置いていることです。さらに重要なことに、変革の全体的な目標は、単に 定義された変更を実行するだけでなく、組織の機能を作り直し、将来のビジョンに基づいた 新たな運用モデルまたは改定された運用モデルを明らかにすることにあります。変革は、はる かに予測が難しく、反復的なもので、何度も実験する必要があります。このため、ビジネス書 『リーンスタートアップ』 で述べられているように、 「試行錯誤から迅速に学習すること」 とも言 われています。また変革は、極めて高いリスクを伴うものでもあります。小規模な一連の変更 イニシアチブが、変革ポートフォリオ内で一定の成果をもたらしたとしても、変革全体の成功 は約束されません。 SaaS プロバイダーに対する ISV として再出発することは、変革の一例です。大手のグローバ ルソフトウェア企業が、小さなスタートアップにリーダーの座を脅かされる可能性があること に気付いたとき、現行のオンプレミスのソフトウェアソリューションが競争力を失っており、ほ とんど発展していないことを認識しました。新たな脅威に対応するため、リーダーシップチー ムがクラウド変革戦略を打ち立て、新たな SaaS ベースの製品を開発する目標を設定しまし た。この戦略には、 「なすべき」主要な取り組みが数多く含まれていました。パブリッククラウ ドプラットフォームの実装、核となるソフトウェアアーキテクチャーのリファクタリング、 23 を超 える新たなテクノロジーの導入、新たなカスタマーサポートモデルの徹底的な再構築などで す。また、変革には、あらゆるイニシアチブを新たな DevOps および「カスタマーファースト」 のマインドセットと整合させるためのリーダーシップも求められます。 単なる変更を処理しているわけではないと認識することは、クラウド変革の全容を確認する ための第一歩となります。つまり、真の変革とは、スタッフ、マインドセット、および文化の変更 を伴うものであり、単に新たなクラウドテクノロジー一式を取り入れたり、プロセスの一部を 変更したりすることではありません。 ツールおよびスキルに 重点を置いた変革 • コミュニケーション • プロジェクト管理 • トレーニング • プロセス設計 ツール、スキル、 マインドに 重点を置いた変革 • 関係者と経営陣の連携 • コミュニケーション計画 • 人員管理 • 組織の設計 • HR 戦略およびサポート 図 1: 変革と変更 78 | THE DOPPLER | 2018 年冬号