The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2018 | Page 61

大量のデータ行およびデータ列を含んでいます。データセットを可視化する技術を利用する ことで、人間の目では raw データとの識別が困難なエラー、パターン、異常などを明確に認 識できるようになります。 次に、データの可視化は、人間のための出力という観点からのみ捉えられる場合があります。 API を介して接続されているプロセスの連鎖で構成されたアプリケーションは、ますます増 加しています。各段階の出力は、次の段階への入力として認識できる方法で表現する必要が あります。この観点からデータの可視化を捉えることで、人間の目が認識できるレベルを超え て、マシンが認識できる超人的な能力に対応することが可能になります。 企業における留意事項 すべての不確定要素を検討すると、多くの大企業がビジネスプロセスに AI を適用するのに 苦労している理由を簡単に理解することができます。次の 3 つの領域は、最大の課題の一部 を示すものです。 組織構造 組織構造は、企業が発展するうえで最大の障害となるケースが少なくありません。従業員が 数千人、数万人、さらには数十万人まで増加するにつれて、組織は必然的に、一定の秩序を 維持するために組織の構造およびプロセスを構築していきます。こうした構造やプロセスは 惰性を生みやすく、サイロや官僚体質とともに、イノベーションの妨げになります。この惰性に よって、 AI をビジネスプロセスに適用する努力が簡単に打ち砕かれてしまう恐れがあります。 その理由となっているのは、 AI に必要となるデータ入力の件数、データの総量、追加のデー タ操作だけです。 なお、 CTP が提唱する Cloud Business Office (CBO) などの考え方により、各ビジネス機 能に代表権を与えることで、サイロを解消することができます。それによってアジリティが向上 し、イノベーションが推進され、適切な組織変更が行われるケースを見てきました。 パブリッククラウドの機能 最初に述べたように、 AI は、スピード、拡張性、コスト優位性をもたらすパブリッククラウドの サービスによって、飛躍的な発展が可能になります。しかし、多くの大企業にとって、パブリッ ククラウドへの移行は未知のものであり、セキュリティ、コンプライアンス、コストなどの重要 な要素を管理しつつ、ワークロードを移行するスキルや経験はほとんどないことが分かりま した。 クラウドの適切な導入に関してさまざまな大企業を支援した実績を持つ専門家のサポート を受けなかったために、企業の取り組みが遅延したり、完全に失敗したりするケースを数多く 見てきました。これはまさに、 「何が分からないのか分からない」 という領域にあります。やは り、経験のある専門家の協力を仰ぐことが極めて重要です。 2018 年冬号 | THE DOPPLER | 59