The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2018 | Page 46
ハイブリッドクラウドとマルチクラウド:
その違いと注目すべき理由
Neal Matthews
クラウドに対するこれら 2 つのアーキテクチャーアプ
ローチについて、主要な企業がどのように活用している
のかを把握するためのベースラインを提示します。
長い道のりではありましたが、企業の IT 部門はようやく、クラウドコンピューティングのメリッ
トを漠然と認識しつつあります。その考え方や戦略的プランニングにクラウドのイメージが浮
かび上がる一方で、
「今この時点」
からクラウドのバラ色の未来に至るまでの道筋は見えてい
ないことが多いものです。こうした企業の将来のクラウド環境については、マルチクラウド、ハ
イブリッドクラウド、クラウドバースティング、分散クラウド、さらにはフォグコンピューティング
など、さまざまなフレーズを使って説明されています。こうしたフレーズはどれも連載記事を
執筆できるほど大きなテーマですが、今回は、混同されることが多く、しかも今後数年間で
最も重要となる可能性の高い 2 つの用語、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドについて詳
しく見ていきます。
ハイブリッドクラウド
目標が AWS、 Google Cloud Platform、または Microsoft Azure などのパブリッククラウ
ドプロバイダーに完全に移行することであっても、またどれほど周到に準備しても、クラウ
ドに一足飛びに移行できる大企業はありません。移行期間はどうしても必要ですが、その間
に企業は、リソース、システム、およびワークロード機能の一部をパブリッククラウドに移行
する一方で、それ以外のものを自社のデータセンターまたはコロケーションホスティングセン
ターで維持することになります。このような相互運用性は、ハイブリッドクラウドの一般的な
例です。
完全に「クラウドネイティブ」な組織 ( 基本的なインフラストラクチャおよび製品 / サービス
のデリバリを目的としてパブリッククラウド上に構築され、 Web ベースメール、 Salesforce、
Zendesk などの SaaS サービスをサポートしている ) を除く、すべての企業がクラウドへの移
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