The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2018 | Page 37

住宅を所有していれば、 「構築、購入、 社内で構築すべき理由 借用」シナリオを常に検討することに 基本的には、「構築」オプションを選択すると、そのプロセスを 自ら管理することができます。ただし、実装については、組織内 なります。 その主な例に、裏庭での造園作業があります。適切な道具を 入手し、自ら作業をこなすことで、持続的な解決策を自ら構築 することができます。夏の間、体力のある若者数名に報酬を支 払って作業してもらうことで、問題の解決という成果を購入でき ます。または、作業に必要な専門知識を造園会社から拝借し、 将来にわたって芝生を維持する最良の方法を教えてもらうこと も可能です。 どれを選択するかは、行動力、経済的状態、近隣の若者との関 係性、整然と刈り込まれた庭を持つことにどの程度価値を置く で信頼できるスタッフに依存せざるを得ません。特定の業務を 行う担当者を選任し、担当者が業務を遂行するために必要な トレーニングを受けられるようにする必要があります。 社内構築では、コストも削減できます。すでに社内にスタッフ を確保しているため、スタッフを適切に管理し、成功するよう支 援することが重要となります。昇給や報奨の支払いが必要にな る可能性がありますが、新たな人材を獲得するコストに比べれ ば、この出費などは微々たるものです。 Capital One 社は、初期のクラウド戦略および移行に必要なリ かなど、多くの要因によって決まります。 ソースを借り入れた組織の好例ですが、その後、クラウドの推 クラウドへの移行を進める企業も同様の課題に直面していま ログラムを開発しました。Capital One 社のマネージングバイ すが、リスクははるかに大きくなります。その過程では、膨大 な時間、労力、リソースを注ぎ込む必要があります。必要な場 所で、適切な期間内に、手頃なコストでクラウドを実装するに は、最適な組み合わせのスキルを確保することが不可欠となり ます。 それでは、そうしたスキルを自社で構築するか、外部から購入 するか、または借用するか、どのアプローチを選択すべきで しょうか。 造園作業と同様に、その答えは、列 A、 B、 C から選択するよう な簡単なものではないはずです。特定の企業と連携してクラウ ドの導入を進めようとしている CIO にとって正しい答えが、異 なる立場の CIO にとっても正しいとは限りません。現在正しい とされることが、将来正しいかどうかも分かりません。また、正 しい答えの多くは、企業独自の戦略に合わせて、構築、購入、 借用戦術を組み合わせることを要件としています。 クラウドの実装を計画しているお客様は、細かい疑問をいくつ も抱えているでしょう。構築、購入、借用のうち、どの戦術でク ラウドへの移行を実現すべきかを評価する際には、次の点を考 進を継続するため、既存のチームを対象とするトレーニングプ スプレジデント、 Biba Helou 氏は、 「当社は教育に資金を投じ て、 AWS に関する包括的なトレーニングプ ログラムを開発しま した」と話します。 「現在では、国内で最も多くの AWS 認定開 発者を擁する企業の 1 つとなっています。全 AWS 認定開発者 の 2% が、 Capital One で働いていることになります」 それでもなお、この戦略には成長を阻害する要因があります。 どのような組織でも、 60 ∼ 80% の IT スタッフは、システムを 維持するために BAU プロジェクト ( 通常業務 ) に従事する必 要があります。そのため、実際には 20 ∼ 40% のスタッフだけ が、通常のプロジェクトではなく、クラウドなどの新たな事業に 取り組むことができるのです。 ワークロードをクラウドに移行し、組織にとって未知のプロセ スを管理することは、決して簡単ではありません。クラウドへの 早期移行を目指す場合、社内の人材に依存していると、移行計 画に遅れが生じる可能性があります。スタッフの再構築、再教 育、再訓練に時間がかかるためです。また、十分なリソースを利 用できないだけでなく、プロジェクトを実行する有能なスタッフ を確保するスキルの習得にも時間がかかる可能性があります。 慮する必要があります。 • 各戦術は、リソース面でどのような効果をもたらすか。 • 各戦術は、単独でどのようなメリットをもたらすか。 • 各戦術は、どのようなタイミングで使用すべきか。 • 戦術の決定が、財務状況や組織構造にどのような影響を与 えるか。 2018 年冬号 | THE DOPPLER | 35