The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2017 | Page 53

ビッグデータに対する IoTのハロー効果 Joey Jablonski IoT は、接続を通じて新たな市場や機能を生み出す革 新的な手法として台頭してきました。 IoT プロジェクトは多くの場合、収益の向上と運用コストの削減という 2 つの財務目標のいず れかの達成を目指すものとなっており、その多くは一般的に、新たな製品、機能、および収益 源を創出できるということを根拠に、リーダーや投資家に対して正当化されています。このよ うな収益向上の機会は、 IoT プロジェクトを正当化するための最もわかりやすい手段となる ケースが少なくありませんが、大幅なコスト削減と効率化も可能であるということを無視して はなりません。 ハロー効果 これら 2 つの主要な側面は、多くの場合に新たな IoT プロジェクトに弾みをつけると同時に、 プロジェクトが成熟してより多くのデータが収集され、 さらなる機会を創出するためにそれら を共有したり、統合したり、販売したりできるようになるのに伴って、大きな可能性をもたらし ます。競合と提携の境界線が曖昧な世界では、 IoT を導入することにより、企業が他社と連 携して単独では不可能だった新しい革新的な製品を生み出すことができる、まったく新しい 領域が切り開かれます。これが IoT のハロー効果なのです。 データの収益化 IoT のエコシステムは、さまざまな市場のさまざまなテクノロジープロバイダーが複雑に統合 されたものであり、図 1 に示すように、単一のデータから統合データセットまでを取り扱う、複 数のレイヤーにわたる専門のベンダーから価値が生み出されます。 IoT の真の価値は、周辺のエコシステムや顧客ベース以外で生まれた機会を収益化できる点 にあります。現在ではデータが 1 つの商品となり、その商品を収集して分析する機能が普及 しつつありますが、 IoT ベンダーは、新しい革新的な領域へと歩みを進めて収益源を拡大し、 新しいタイプの顧客に狙いを定めると同時に既存の顧客に新たな機能を提供しています。ほ んの一例にすぎませんが、 IoT を活用すれば、株式市場やその他の金融商品に関するリアル タイムデータを提供し、今までよりはるかに短時間で市況に対応できるようにすることが可能 な、これまでにない機会がもたらされます。 2017 年冬号 | THE DOPPLER | 51