The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2017 | Page 36

確にしたうえで構築しなければなりませんが、エクスペリエンスデザインは、こうした課題への 対応で中心的な役割を果たします。 DevOps 継続的インテグレーションやデプロイの自動化だけにとどまらず、 DevOps は従来の IT 開 発と IT 運用間のサイロを解消するものとなりますが、注目すべき点は、 DevOps の導入にク ラウドが必須ではなく、またクラウドの導入に DevOps が必須ではないということです。ただ し、それらを併用すれば相互に補強し合い、各要素を寄せ集めた場合よりはるかに大きな効 果が得られます。多くの IT 組織は、 Netflix 社、 Amazon 社、 Etsy 社といった、アプリケー ションのアップデートを 1 日に数百回展開していることで知られる組織のベストプラクティス を取り入れようとしています。DevOps とアジャイル手法を組み合わせれば、これまでよりは るかに短時間でアプリケーションを構築して市場に投入できるうえ、問題も減少し、頻繁に アップデートを展開することが可能になりますが、年に 1 ∼ 2 回のリリースへの対応に苦労し てきた企業の現実から大きく脱却した真の DevOps を導入しなければ、そのすべてを実現 することはできません。DevOpsには、サイロを解消して自動化を進める文化から、継続的イ ンテグレーションや継続的配備に至るまでのあらゆるものが含まれます。 ビジネスの利害関係者との調整とビジネス成果 これは IT の基本のように思われるかもしれませんが、私たちはビジネスニーズや利害関係者 の優先事項に合わせてプロジェクトが進められなかったことが原因で支援が得られず、最終 的にプロジェクトが失敗に終わってしまうのを幾度となく目にしています。 IT 部門は、利害関係者とその成功を推進する要因、および最優先事項を把握しておかなけ ればなりません。変革をもたらすと考えられるデジタルイノベーションの取り組みにおいては、 1 回だけ調整を加えるのではなく、新興企業が PoC の結果に基づいて頻繁に軌道修正とア イデアの変更を行うように、企業はデジタルイノベーションの取り組みとビジネス戦略がどの 程度合致しているのかを絶えず評価する必要があります。そして最後に、イノベーションの文 化を育む企業の組織は、常にビジネスの優先事項を明確に把握することに重点を置かなけ ればならず、そうしなければ、多くの場合にイノベーションのためのイノベーションを超える成 果は得られません。 IT Ops を見落としてはならない CTP では、 IT Ops チームと IT アプリケーション/ イノベーションチームがイノベーションを 推進してアジリティを向上させるために連携しなければならないときに、それぞれのチームが 完全にサイロ化されている状況を目にすることが少なくありません。イノベーションを推進す る IT 組織には、強力な運用の基盤が必要であり、クラウド導入プログラムは、安定した効率 的かつコスト効果の高い IT 運用を実現するものでなければなりません。こうしたプログラム は、ビジネスの利害関係者がビジネス成果の実現を支援するためにデジタルイノベーション で IT 部門と連携するにあたって、それらの関係者に信頼を与えるものとなります。 34 | THE DOPPLER | 2017 年冬号