The Doppler Quarterly (日本語) 秋 2016 - Page 9

試みながら長い年月を費やす必要なく、ビジネス価値を生む られないということは多々あります。その一方で、これらの企業 サービスをクラウドに迅速に展開できます。それぞれの新しい には、データセンターのすべてのインフラストラクチャに対する MVC では、顧客が追加の機能を組み込み、時間をかけて世界 支払いが引き続き生じています。そして、クラウドの ROI は、ク レベルの堅牢なクラウドを構築します。 ラウド戦略に基づく企業の実行能力を超 ることはありませ プロジェクトのもう 1 つの重要課題は、真のアジャイルプロジェ ん。 クトを実行する能力がないということです。多くの企業は、いわ 当社では、実用最小限のクラウドアプローチを採用することに ゆる「ワジャイル (wagile)」な取り組みに終始しています。 「ワ より、クラウドを迅速に実現し、 1 回につき単一のワークロード ジャイル (wagile)」とは、一見「アジャイル (agile)」のように見 を達成することを推奨しています。MVC アプローチでは、より えて、実は短期の「ウォーターフォール (waterfall)」を多数実 早期にビジネス価値を示す、小規模で管理可能なプロジェクト 行しているだけという状態を説明する言葉です。これらのプロ に重点が置かれています。その進行の中で、スタッフはクラウド ジェクトチームは、スプリントを繰り返したり、フィードバック に関するスキルを学習および改善できます。 ループに基づいて行動したりしません。代わりに、悪い方向へ どんどん進んでいきます。プロジェクトチームは何か月もの間に わたり設計を行い、クラウドの構築を開始し、クラウドサービス を展開します。そして、やっと稼働というときに、結局は失敗す クラウドの適切な候補であるワークロードタイプは数多くあり ます。Web アプリケーション、ビッグデータと分析、サードパー ティアプリケーション、生産性ツール、およびハイパフォーマン るのです。 スコンピューティングは、クラウドへの移行の最適な候補であ クラウドインプリメンテーションの成功を実現するには、フェイ すべてのワークロードタイプに同時に対応するために完璧なク ルファストアプローチが必要となります。また、真のアジャイル ラウドを構築しようとするのは、失敗の元です。より適切なアプ アプローチが必須です。チームは細かいスプリントを繰り返す ローチは、複雑性、市場投入までの時間短縮、ビジネス価値な ことにより、その進行の中で学習し、調整を行います。最初にク どの要因を組み合わせて用いつつ、アプリケーションアセスメ ラウドで試すこともなく、すべての要件を事前に収集できるは ントを実施して、ワークロードの優先順位を付けることです。 ずがありません。 るワークロードカテゴリの中でもごく一部にすぎません。これら アプリケーションポートフォリオのロードマップを準備したら、 非現実的な期待 適切なレベルで配備されたセキュリティ、自動化、および運用 多くの企業は非現実的な期待を抱いて、クラウドの推進を始め て、それらのワークロードを現在のデータセンターからクラウド ます。ハイブリッドクラウドを熱望してクラウドに参入した企業 も、これまでに数え切れないほど見てきました。このような企 業は、ハイブリッドクラウドソリューション、クラウド管理プラッ トフォーム (CMP)、およびその他の高度なテクノロジーに関す る大規模な評価から始めますが、その時点ではまだ、クラウド 上で単一のアプリケーションを構築する方法もまったく知りま を追加することに重点を置いた一連の MVC をスケジュールし に移行する必要があります。また、データセンターでアプリケー ションをシャットダウンできる時期が早くなるほど、全体的な ROI が向上することを覚えておきましょう。 まとめ せん。 戦略が適切に実行された場合、クラウドコンピューティングは、 なぜ、マルチクラウドを実装しようとする前に、 1 つのクラウドエ にかかる時間が長くなりすぎる場合や、成果が最適ではない ンドポイントに慣れることに重点を置かないのでしょうか。1 社のクラウドベンダーに精通するには、少なくとも 2 ∼ 3 年は かかります。まずはそこから始めるべきです。ハイブリッドにつ いて心配するのは後回しにし、当面は達成可能な目標に重点 を置くことをお勧めします。また、ハイブリッドクラウドの複雑 な世界に足を踏み入れる前に、クラウドコンピテンシーを社内 相当な利益につながる大きな機会を提供します。クラウド戦略 場合、当初の ROI 予測は達成されません。CEO と経営陣を 前にして、自分のキャリアを けて売り込もうとするのであれ ば、自社へのクラウドサービスの提供を目指して、 ROI の重要 課題に対処し、 MVCアプローチを採用することを強くお勧めし ます。 で築く必要があります。 推奨事項 企業が完璧なクラウドを構築しようとして、月単位から年単位 の時間をかけ、多大なコストを浪費し、ほとんど何の成果も見 2016 年秋号 | THE DOPPLER | 7