JAPAN and the WORLD Magazine OCTOBER ISSUE 2015 #Issue 13 | Page 45

FRANCOPHONIE Vietnam’s political choice in expressing its sense of belonging in the international community through its membership in the Francophonie. The presence of the International Francophone Organization in Vietnam through its Asia Pacific’s Office in Hanoi has been instrumental in developing innovative projects. One of them is a French training program for diplomats in Asia and other regions being offered at The Diplomatic Academy in Vietnam. Although French language no longer boasts an advantage, the cooperation among French-speaking countries is still of significance. This is one of the important diplomatic channels, which creates and brings opportunities and benefits to Vietnam. Musée Louis Finot in Hanoi, built by Ernest Hébrard in 1932, now National Museum of Vietnamese History. FRANCOPHONIE AND PROMOTION OF PEOPLE’S RIGHTS On September 15th 2015, at the Summit of French-speaking countries, held on the sidelines of the United Nations General Assembly’s 60th Summit in New York, Vietnam’s Vice President, Ms. Truong My Hoa reaffirmed her country’s continued cooperation with French-speaking countries in promoting democracy and ensuring the people’s rights She said that exchanging views frankly and sharing experiences provide mutual understanding within the French-speaking community and helps to promote democracy, freedom, and the people’s rights in each member country. ベトナムにおけるフランス語の存在 University of Hanoi: Launch of the second summer school 2015. JAPAN AND THE WORLD MAGAZINE VIETNAM つも、 ベトナムの重要な側面となっているのです。 ベトナムにおけるフランス語の現状 ベトナムにおけるフランス語使用は、再興の機運を 求めています。ベトナムには推計60万人のフランス 語話者がいますが、 これは全人口の1%未満にすぎ ません。 ただ、 フランス語を学ぶことは今も尊敬の対 象であり、信望を集めます。 フランス語学習は実用の ためだけでなく、知識や文化へのアクセスを保証す るものなのです。 ベトナムでフランス語報道メディアが生 き残ったのは恐らく読者が多かったため ではなく、 ベトナムが国際社会の一員で あるという認識を、 フランコフォニー加盟 を通じて表現しようという政治的な選択 によるものでしょう。 現在最も学ばれている言語が英語なのに対し、 フラ ンス語は、 科学や法学、 医学、 経営学といった専門分 野でニッチな学習機会を提供するようになりました。 ベトナムにはフ ランス語メディア市場が今も存在し、 フランス語で報道を行っています。ル・クーリエ・デ ュ・ベトナムは、ベトナムで発行されているフランス 語新聞としては最大部数を誇り、1964年の創刊以 来、 ベトナムと東南アジアで最も販売されているフラ ンス語ニュース媒体となっています。 ベトナム通信社(VNA)は、国営テレビで毎週放映 されるフランス語のテレビニュース番組を制作して います。今年創設70周年を迎えるVNAの報道チー ムは記者60人を抱え、英語、 フランス語、 中国語、 ス ペイン語の4か国語で出版メディアとウェブサイト向 けにニュース記事を配信しています。 ベトナムでフラ ンス語報道メディアが生き残ったのは恐らく読者が 多かったためではなく、ベトナムが国際社会の一員 であるという認識を、 フランコフォニー加盟を通じて 表現しようという政治的な選択によるものでしょう。 言語としてのフランス語がベトナム社会に入ってき たのは18世紀、 フランスがベトナムの再統一にあた って重要な役割を果たし、ポルトガルに代わって東 南アジア最大の欧州列強国となった後のことです。 フランス語がベトナム文化にもたらした最大の影響 は、恐らくアルファベットの制定でしょう。 ベトナム人 はラテン文字、 それも特にポルトガル語アルファベッ トを、 アクセント符号やダイアグラムとともに使いま フランコフォニー国際機構のアジア太平洋支部がベト す。ベトナムにアルファベットをもたらした歴史的背 ナムの首都ハノイにあることは、 革新的なプロジェクト 景は、 ポルトガルのカトリック宣教がベトナム語を翻 を考案する上で役立ってきました。 そうしたプロジェク 訳するためにラテン文字を使ったのがはじまりです。 トの1つが、 ベトナム外交学院 (DAV) でアジアその他 しかし、現代のベトナム語アルファベットが普及した の地域の外交官向けに開講されているフランス語特 のは、 フランス領インドシナ時代でした。 ラテン文字 訓プログラムです。 フランス語はもはや外交上の強みと を採用したことで、 ベトナム語アルファベットはベトナ はなりませんが、 フランス語圏諸国の間での協力はい ム社会の識字率向上に大いに貢献しました。 まだに大きな意味を持っており、 ベトナムに機会と便 益をもたらす重要な外交ルートとなっているのです。 ベトナム戦争後、多くのベトナム人フランス語話者た ちは祖国を離れ、 その結果、 ベトナム社会におけるフ ランス語の重要性は低下しました。 さらに、英語がフ フランコフォニーと人権の推進 ランス語に代わって最も学ばれている第二言語とな り、 貿易・通商・外交の言語も英語になりました。 こう 2015年9月15日、 第60回国連総会に合わせてニュ した傾向にもかかわらず、 フランス語は再びベトナム ーヨークで開かれたフランス語圏諸国首脳会議(サ の教育に取り入られつつあります。 また、 フランス語は ミット) で、ベトナムのチュオン・ミー・ホア副大統領 高等教育では最も重要な言語であり、 学識のある専 は、今後もベトナムがフランス語圏諸国と協力して 門家の多く、特に年配の人々は現在もフランス語を 民主主義の振興と人権保障につとめていくことを再 話します。 このような植民地の遺産、 それがベトナム 確認しました。 チュオン・ミー・ホア氏は、 率直な意見 語アルファベットの成立に与えた影響、 そしてベトナ 交換と経験の共有がフランス語圏内の相互理解を ムのフランコフォニー国際機構加盟により、 フランス もたらし、民主主義、 自由、 そして各加盟国内の人権 語はベトナム戦争の激戦後の社会で存在感を失いつ の促進につながると述べました。 OCTOBER 2015 // 44