Garuda Indonesia Colours Magazine October 2015 | Page 221

Archipelago Special | 群島特集 マルク州での野鳥観察 ガルーダ・インドネシア航空では、 マルク州まで 8路線、 週51便を運航中。 マルク州には数えきれないほどの島々があり、 そ れぞれに独特な個性がある。 高い山々があり、 マ ルク州に固有の鳥の宝庫であるセラムにはアン ボンから簡単に行くことができる。 パプアに近い 東の端にはカイ諸島があるが、 現在はガルーダ・ インドネシア航空の 「エクスプロア」 で島の首都ラ ングールとアンボンが直行便で結ばれており、 ウ ォレスの時代に比べるとはるかに訪れやすくなっ ている。 この地域でしか見られない鳥を求めて、 カイ・ベサル島とカイ・ケチル島の両方を訪れる バードウォッチャーも多い。 野鳥観察スポットとして外せないのは、 北マルク 州のハルマヘラ島だろう。 まずテルナテ島に飛ん でから、 ボートでハルマヘラ島まで向かい、 シンダ ンゴリの町に到着する人がほとんどだ。 現在この 島でのバードウォッチングはきちんと組織化され ており、 テルナテ島から同行してくれるガイドを 付けることができる。 島にあるエコリゾートのほと んどが、 人気の固有鳥であるシロハタフクチョウ の見つけ方を熟知している。 早朝の散歩でこの極 楽鳥が見られる場所に連れ出してくれたり、 鳥の いる木の下で朝のコーヒーを楽しめるピクニック テーブルまで用意されていたりする。 本格的なバードウォッチャーでなくとも、 これほ ど豊かな生物多様性のある熱帯の島にいるのは 特別な体験だと実感できるはずだ。 ハイガシラヒ メアオバトやキンイロヒヨドリなど、 マルク州に固 有の鳥の多くは観光客が宿泊するリゾートにも 飛んできて、 果実をついばんだり花の蜜を吸った りする姿を見ることができる。 島に向かう途中でも、 フェリーから海鳥を探して みよう。 インドネシアには多種多様な海鳥が訪 れ、 特に10月から3月の間にはトウゾクカモメや ウミツバメ、 ミズナギドリなどがやって来る。 だが アジサシやグンカンドリ、 カツオドリのように群島 内の人けのない岩で繁殖し、 一年中見られるもの も多い。 219 鳥の宝庫だ。 宿や食事は質素なものしかないが、 目を見張るほど美しい夜空が十二分に補ってく れる。 ここには公害が一切なく、 夜の明かりもな い。 満天の星空があまりに近く見え、 手を伸ばせ ば届いてしまいそうなくらいだ。 パプアでの野鳥観察 ガルーダ・インドネシア航空では、 パプアまで 9路線、 週53便を運航中。 自分へのご褒美にパプアへの旅を―ここはインド ネシアでのバードウォッチングの頂点だと言える だろう。 低地は気温も湿度も高く、 山は険しくトレ 著者略歴 ッキングするには手強く大変だ。 しかし、 ここに匹 敵するところはどこにもない。 まさに熱帯のアラス カであり、 飛行機で何時間も飛んで大地を渡る 「鳥はカゴの中ではなく、野生にいるべきだと と、 その下には森と山と曲がりくねった川しか見 私は思う。 自由な鳥こそが人の心を捉え、飛べ えない景色が広がる。 ることの素晴らしさを教えてくれる」 と語るモ ーテン・ストレンジは、 1980年代からカメラ パプア州南端にあるワスール国立公園は、 パプア と言葉を通してインドネシアの鳥を記録してき ニューギニアとの国境に近い。 インドネシアの他 た。現在はシンガポールを拠点に、金融と経済 の地域と違ってサバンナの乾燥地帯であり、 ゴウ の環境への影響を探るべく金融アナリストに シュウヅルやオーストラレーシアンノガンといった 転身している。 オーストラレーシアに固有の鳥を見ることができ る。 島の反対側、 西パプア州のマノクワリの近くに あるアルファク山は、 山地性の固有種や極楽鳥、 ニワシドリを求めるバードウォッチャーに人気が ある。 近隣のソロン沖には、 ラジャ・アンパットの 素晴らしい海洋公園の中にバタンタ島とワイゲ オ島があり、 ベニフウチョウとアカミノフウチョウ という二種の固有の極楽鳥が生息している。 しかし私に言わせれば、 パプアでバードウォッチ ングをするならセンタニ空港に行くのがおすすめ だ。 そこからはセンタニ湖周辺の低地熱帯雨林に 行くのも簡単で、 ヒヨクドリやジュウニセンフウチ ョウ、 大きくて飛べないパプアヒクイドリといった 低地性の鳥がいるニンボクランの植民地へも行 くことができる。 特に内陸のワメナへ移動して、 雪 を頂く山々のふもとにあるハッベナ湖の高地へ向 かうと最高だ。 ここは地球上で最も美しい場所に 数えられるほどで、 まさに息を呑む光景が広がっ ている。 これほど標高の高いところ (海抜3200 ~3500メートル) に来ると空気がだいぶ薄く なるため、 早く歩き過ぎないように注意しないと 頭がくらくらしてしまう。 パプアのこの地域にある高山や低木な林には、 ハ ナガオフウチョウやカンムリハナドリ、 クビワイン コなど私達が目にしたことのないような山地性の A Photographic Guide to the Birds of Indonesia モーテン・ストレンジ著、 2001年初版。 201 2年