Garuda Indonesia Colours Magazine October 2014 - Page 226

224 Rote | ロテ島 視覚:星の輝く夜 光害がほとんどないこの島で、 息を呑むような満天の星 空を仰ぎながらディナーを楽しむ。 そしてその日のサー フィンの成果を、友人と語り合おう。 ロテ島には、 ストレスや心配事とは真逆の、本物 の心の安らぎとリラクゼーションをもたらす何か がある。 それは確かに島民の生活に深く染み込 んでいるものだ。 「ノー・ストレス」 という地元のミ ュージシャンがいるが、彼は島の魔法を音楽に 取り込み、心のこもったアコースティック・ミュー ジックを奏でている。 ロテ島の人々は昔から創造性に富み、人生のさ さやかな喜びからインスピレーションを得て魅 惑的な伝説や神話を作り上げたり、色鮮やかな 織物を作ったり、美しいメロディを生み出したり してきた。彼らは生まれながらの職人であり、 ミ ュージシャンであり、語り手なのだ。実際インド ネシアで最もユニークな伝統楽器のひとつに数 えられるササンドゥは、 この島が起源となってい る。 幸運なことに、私はネンブララから東へ車で30 分のところにあるラルコエン村でベテランのササ ンドゥ奏者に会うことができた。 ハンス・パーは 生まれてからずっとこの島で暮らし、 ササンドゥ や、 ティランガというロンタル椰子の葉で編んだ 帽子などの伝統工芸品の保存と普及に人生を 捧げてきた。 ソンブレロに似たティランガは、 ロテ 島の男性が日よけのためにかぶる帽子だ。今日 ではどちらかというと飾りとして使われ、 同じくロ ンタル椰子から作られたササンドゥを演奏するミ ュージシャンがかぶることが多い。 地元に伝わる伝説によると、 ササンドゥはロテ島 生まれの少年がロンタル椰子の木陰で昼寝をし ていたときに見た夢から生まれたのだという。彼 は夢の中で、 それまで見たことも聞いたこともな い楽器を演奏していた。束の間の夢で聞いたそ の音色に魅了され、彼は自分がその下で寝てい た木を使ってササンドゥを作り上げたのだそう だ。 ハープを思わせる繊細な音が織り成す心地 良い調べは、 ロテ島を訪れたときの言葉で言い 表せない感覚が音になったように聞こえる。 ハンス・パーはササンドゥの弦を爪弾き始め、 フ ロバモラ (フローレス・スンバ、 ティモール、 アロ ールを合わせた言葉) と呼ばれる民謡を弾いてく れた。何世代も前の時代に作られたこの曲は、 こ れらの島に生まれながら故郷と島の生活から離 れて暮らす人々を思って作られたものだ。 ササン ドゥの演奏を生で観るのは、 しかもベテラン奏者 による演奏は、心を奪われる魅惑的な経験だっ た。 ロンタル椰子で作られたこの楽器から響いて くるひとつひとつの音に、私はロテ島の魔法と、 そこに住む温和な人々の精神を聞く思いがした。 これぞ、 まさに楽園だ。 味覚:ロンタル椰子 ロテ島のロンタル椰子は、様々なものを与えてくれる存 在だ。島の経済と社会はこの木を中心に回っていると言 ってよい。 ササンドゥやティランガの材料となるだけでな く、栄養分の豊かな芽からは砂糖のように甘いジュース が作られる。一日中サーフィンを楽しんだ後の、乾いた 喉を潤すのに最適な天然飲料だ。