Garuda Indonesia Colours Magazine July 2014 | Page 225

Malang | マラン 223 偉大なる伝統の街 文:ステファニー・ブルックス ステファニー・ブルックスはマランを訪れ、植民地時代の名残をとどめる都市 と田園地方を徒歩とベチャで巡る旅に出た。 私はマランにあるトゥグ・ホテルから外に出て、今日は どの運転手のベチャ (人力三輪車) に乗ろうかと考え ていた。運転手は、全員ふくらはぎにテニスボール大 の筋肉をつけた良い体をしている。半数は居眠りをし ていたが、暑い気候の中で体を酷使する彼らの仕事 を考えると不思議ではなかった。 だが驚くことに私が ベチャを待つ列の先頭に立つと、 まるでドミノのよう にひとりずつ居眠りから目を覚まして背筋を伸ばし、 いつでも出動できる態勢になった。 そして私はすぐ に、 この美しい街を巡る冒険の旅へ出たのだった。 人口120万人のマランは、東ジャワ州で二番目に大 きな都市だ。涼しい山の気候で、息を呑むような高地 の景色に囲まれている。 ベチャに乗って小道や裏道を 走っていると、風格のある植民地時代のオランダ式家 屋が目に入ってくる。 これらの建物の大部分は、19 30年代から1940年代に建てられたものだ。私達 はジャラン・セメル、 ジャラン・ウェリラン、 そして大通 りのジャラン・イジェンの間にある裏道をいくつも通 っていった。大通りの熱気や騒音から逃れると、 まる でインドネシアがオランダの支配下にあった植民地 時代に迷い込んでしまったかのような気分になっ た。 この辺りにある歴史的家屋の多くは、色とりどりの ブーゲンビリアで美しく覆われ、豊かな気品ある雰囲 気を漂わせている。実際のところマランで最も格式の 高いイジェン大通りは、別名「億万長者街」 として知ら れている。 そこにはなんと、100万ドル (約1億26 00万円)以上の価値を持つ家もあるという。 12もの大学があるこの街には、若々しい活気が漲っ ている。 バリ、 マドゥラ、 ヌサ・トゥンガラ、東ティモー ル、 パプア、 マルク、 スラウェシ、 ボルネオ、 そしてインド ネシア国内の他の島々から学生が集まっているた め、多様な文化の坩堝でもあるのだ。 確かにマランでは、高学歴の人々に大勢出会った。 ホ テルのドアマンをしているジョンは、完璧なアクセント のイギリス英語を話す。 しかも上流階級のイントネー ションまで身に付けていたので、驚くのと同時に魅了 されてしまった。 続いての冒険には徒歩で向かった。行き先はダウンタ ウンのホテルから歩いて3分、環状交差点に面した市 役所の隣にある場所だった。狭い路地を抜けてバー ド・ストリートに出ると、 パサール・ブンガ (花市場とい う意味) と呼ばれる地元の市場があり、左側では鳥 が、右側では花が売られていた。 ここではオウムをは じめとする、様々な種類の色鮮やかな鳥が売られてい る。珍しいエキゾチックな鳥やオオフクロウ、加えてフ ワフワのウサギや丸々としたモルモット、 なめらかな 鱗の無毒ヘビといったペットも買うことができる。物 が密集した店先の小さな隙間を探して覗いてみる と、 マランの村々の間を縫って流れるブランタス川、 さ らに沿岸に並ぶ建物の屋上が見えた。 それもまた、見 事な景色だった。