Garuda Indonesia Colours Magazine February 2019 | Page 151

Alor | アロール 「チリンチリンチリン!」 とイルワンの金属製 ポインターが3回音を立て、彼が何かを見つ けたことがわかった。私達は何を発見したの か見ようと彼のもとへ泳いだ。イルワンが指し 示していたものは、砂の塊にくっついた海草の ようなものに見えたが、 じっと見つめているう ちに、なかなか出会えないはずのボロカサゴ の輪郭がまるで魔法のように現われた。 私は自分のカメラで数枚撮ってみた。水中スト ロボのおかげでカサゴの豊かな赤い色がきれ いに出ている。 こんなに珍しい生き物を間近で 見られるチャンスがあるとは思いもしなかっ た。 タンクの中の空気が減ってきたので、イルワン が親指を立てるサインを出した――水面に上 がる時だ。 上がっていくと頭上に午後の日差しが輝くの が見え、近くのビーチに並んで立っているヤシ の木が黄金色に染まっていた。 「今あれがひとつ欲しいわ」 と、高い木の上に あるエメラルド色のココナツの方を指差してコ リィが言った。 これほど忙しい一日の最後にフレッシュなココナ ツジュースを飲めたら完璧だが、 どうやって落と せばいいのだろう? すると、 プラフ (アウトリガーカヌー) を漕いでい たジョンという名の地元の少年が助けに来てく れた。 あっという間に、 彼は友達を集めてヤシの木を登 るのを手伝ってもらい、 マチェーテを使ってセブ ン・シーズ号の乗組員と乗客全員に足りるだけ の青いクラパ・ムダ (若いココナツ) を切り落とし てくれた。 私達が船に戻るとき、 ジョンと彼の友人達がココ ナツの実を積んだアウトリガーカヌーを漕いで 付いてきて、 サヴ海に沈んでいく太陽の最後の光 を一緒に眺めた。 アロールに夜が訪れ、 ダイアモ ンドのような星が空で輝き始めた。 今夜私達は美しいアロールを後にして、 マウメレ の港に戻る旅を始めることになる。 ここにいた時 間は短かったが、 この素晴らしい群島の魔法は 私の心を捉え、 カメラのメモリーカードをいっぱ いにしてくれた。私はきっとまたさらなる冒険を 求めて、 インドネシアのこの驚くべき場所に戻っ てくることだろう。 五感– –視覚 ボロカサゴ アロール “水中写真の聖杯”として世界に名高く、希少で 見つけにくいボロカサゴは、 冒険好きなスキュー バダイバーなら一度は見てみたいと願う珍しい 生き物だ。 この美しい保護色の魚が海岸線沿い の岩礁に生息するアロール島は、 その姿を垣間 見られる世界でも数少ない場所のひとつだ。 ジャカルタからクパンへ 飛行時間: 3時間 運航便数: 週7便 • 149