Garuda Indonesia Colours Magazine February 2019 | Page 149

Alor | アロール トラベル: アロール フローレス島の東にあるアロール諸島は、 イン ドネシア屈指の未開の地だ。 私達は豪華スクーナー船セブン・シーズ号に乗 り、世界有数のダイビングスポットと 古代アニ ミズム文化を発掘する旅に出た。 二本の刀が湿った朝の空気を斬っていく――二 人の戦士が実演する戦闘技術は、 この小スンダ 列島の僻地で何世紀にもわたって受け継がれて きたものだ。 彼らは数分にわたり、互いに攻撃と防御を繰り 返しながら刀を交える。戦いを終えると二人とも 笑顔になり、直前までの緊張感をほどくように笑 い合った。 この戦いはデモンストレーションに過 ぎないとは言え、彼らの祖父や曾祖父だった戦 士が備えていた戦闘技術の凄まじさは容易に想 像できる。 伝統的なイカットの頭飾りとサッシュを身に纏 い、 アブイ族の首長が戦いに向けて相手と見合 っている。 私達はセブン・シーズ号に乗って、 フローレス島 東部の島々を巡る12日間の旅に出た。 この船は 伝統的に作られた船長40メートルのピニシ船 で、 インドネシアのエキゾチックな美しさを探検 する旅ができる豪華なクルーズ客船として知ら れている。 この7日間、私と友人のコリィは毎朝 目覚める度にパノラマの絶景に目を見張り、 8日 目にアロール島の県都カラバヒから少しはずれ たところに到着したのだった。 それぞれが刀を抜き、飾り彫りの施された木製 の鞘から姿を現わした古代の刃金が鋭く光る。 私達はアブイ族の人々と、女族長率いる伝統舞 踊で始まる忘れられない朝を過ごした。彼女達 147 はゆっくりと足でリズムを取り始め、手作りのア ンクレットが鳴る音がテンポを刻み、踏み鳴らさ れた地面は漆黒の輝きを放っていた。 終わりに近付くと、私達も踊りに加わるよう誘わ れた。 リーダーが刻むドラムの拍子を頭の中で数 えながら、 大慌てで複雑な足の動きに付いていこ うとしたものの、不器用な足が絡まってつまずく ばかりで笑ってしまった。 あっという間に、 アブイ族と過ごす時間は終わり を迎えた。伝統的なイカットの織り手達が手製 の品々を見せてくれた。濃い赤紫や藍、 その他ア ースカラーの糸で織られた荒い肌合いの布で、 ア ロール諸島を象徴する図像が描かれてい る――特に際立つのがウミガメをはじめとする 海洋生物だ。 セブン・シーズ号に戻ってアロールの島巡りを続 ける前に、 コリィと私は県都のカラバヒに立ち寄 ることにした。 中央市場に着くと、屋台が並ぶ細 い道に商人と客が群がっているのが見えた。 ア ロールの美味しい果物や野菜を試食している と、地元の人達の日常生活を味わっているよう な気分になってくる。