Garuda Indonesia Colours Magazine February 2018 | Page 165

North Halmahera | ハルマヘラ島 ハルマヘラ島― 忘れ去られたスパ イス・アイランド バリ島より三倍ほど大きな島でありながら、 ハ ルマヘラ島は観光客にほとんど知られていな い。 マーク・エヴェリーが北ハルマヘラを訪れ、 ドラマチックな火山の景色と無人島の夢があ る忘れ去られた地を旅した。 ハルマヘラ島では、物事が見かけどおりとは限ら ないことがある。壮大なマムヤ火山はトベロ町の 背後に巨大なピラミッドのようにそびえ立ち、絵 に描いたように完璧な火山の背景幕のように見 える。 だが高地の霧が渦巻き、 でこぼこした山の 尾根のようなものが町の西側では見られるのだ が、 よくよく観察すると、実際はドゥコノ火山の隠 れた噴火口の一部で、地球が咳をしているかの ような騒々しい音を立てていることが分かる。 下の海岸にいる商人や甲板員は、 この85年間 絶え間なく不気味な音を立ててきたその火山イ ンドネシアにある127活火山の中でも最も活 発なもののひとつ) の方にはほとんど目もくれな い。切りっぱなしの木でできた桟橋からボートに 乗りながら、私はトベロの町では時の変化が非 常にゆっくりなのだということを考えていた。 163 友人からYusと呼ばれている彼によると、北ハル マヘラを訪れる観光客は月に10人ほどしかい ないのだそうだ。私が乗ったマナドからの飛行機 には、外国人が他に一人しかいなかったのだが、 手荷物受取所で数分話をしたところで、実は20 年前にカリマンタンの金鉱で会っていたことに気 が付いた。 インドネシアは途方もなく広大な国だ が、北ハルマヘラはなんとも狭い世界だ。 私達の乗った小さなボートが列島に向かって のんびりと進む中、 トビウオが熱帯の太陽を受 けて銀色のダーツのようにキラキラ輝き、遠く にはイルカの小さな群れが水しぶきを上げる のが見えた。北ハルマヘラには115もの島(大 部分が無人島だ) があり、今でも名前のない島 が19もあることからもここがいかに辺鄙な場 所かがわかる。 「北ハルマヘラは、絶景と豊かな歴史を持つインド 「南の方に見えるのがトゥプ・トゥプ島です」 ネシアの秘宝のひとつです」 と、 ガイドの と、Yusが船外機のモーター音に負けないように Yusferglius Tjingaisaが言う。 「とは言え、現在そ 大声で言った。 「そして真正面にあるのがタガラ の存在を知っていそうな人さえほとんどいません。」 ヤです。」