Garuda Indonesia Colours Magazine February 2015 | Page 205

Alor | アロール島 203 聴覚:千の言語 アロール人のほとんどがキリスト教かイスラム教 に改宗している一方で、 アニミズム崇拝は今でも 一神教の裏で息づいている。私には彼らの儀式 の多くが、現代社会でとうの昔に失われてしまっ た自然と人間のつながりとバランスがここではま だ生きていることを象徴しているように見えた。 町に戻って、私はアロールダイブ (www. alor-dive.com) のオーナーでオペレーターのト ーマス・シュライバーと合流した。真っ先に彼か ら学んだのは、 この島には地上と同じく水中にも 素晴らしい多様性があるということだった。 アロ ールはインドネシア有数のシュノーケリング/ダ イビングスポットだが、 海流が激しく渦も起きる ため、 この近辺の海を熟知した人と一緒に泳ぐ のが一番だ。 トーマスによると、 アロール諸島にはダイビング 場が45カ所ある。 そのう ち20カ所は特に素晴 らしく、世界最高水準だと言われている―人気 では劣るものの、 ラジャ・アンパット諸島や近隣 のコモド島の海に値するほどだ。 「インドネシア には世界有数のダイビングスポットがいくつもあ りますが、 アロールの海の多様性に惹かれて、 そ のために私はここで事業を始めることにしたので す」 とトーマスは言う。 彼は私を諸島内に点在する、澄み切った湾に連 れて行ってくれた。水中には魅惑的な海洋生物 が数多く棲み、広大なサンゴ礁が広がっている。 驚くほどきれいな海水で、 まるで北極海のクリス タルブルーのようだ。保証はできないものの、 ここ ではマンボウやオナガザメ、 シュモクザメ、 マカジ キの姿が何度も目撃されている。 ナポレオンフィ ッシュ、 ロウニンアジ、 リーフシャーク、 ウミガメ、 イーグルレイ、 タマカイ、巨大なイソマグロ、 アン コウなどは日常的に見られるのだとトーマスは 言う。 そして運が良ければ、季節によってはゴン ドウクジラを見つけたり、何百ものイルカが集ま る巨大な群れに出会えたりする可能性もあるそ うだ。 一緒にダイビングをしている間、私達は幸運にも カマスの渦巻く群れに巻き込まれた。 それは現 実とは思えないほど、素晴らしい体験だった。悲 しいことに、近年漁業の影響でサンゴ礁が傷付 けられてしまっている。 インドネシアには他にも サンゴ礁が危機に瀕した地域がいくつもあり、 こ こでは幸い現時点での被害はそれほど深刻では ない。 とは言え、海から上がる頃に私はまた元県 知事の深い言葉を思い出していた。 アロールは、環境と文化の宝島だ。並外れて美し い自然の広がる島々が連なり、尖った火山の頂 や緑豊かな熱帯雨林、 そして透明な海にも恵ま れている。 アロールには地上にも水面下にも、見 るべきものがあふれんばかりにある。 アロールの 観光業界には莫大な将来性がある―この島の 素晴らしさを味わいたいという人は、 これから増 えていくだろう。 しかし私達は、心して楽しむこと を決して忘れてはならないのだ。 一カ所でいくつもの違った言語が聞こえてくる と、初めは少々混乱するかもしれない。 この地域 には100を超える部族と52の方言が存在し、 地元民の多くは最低でも5つの違った方言を話 している。 また近年全国的な 「バハサ・アロール」 から派生した新たな共通語も生まれ、部族間の 交流が深まってきている。 ジャカルタ-クパン 飛行時間  週14便運航 デンパサール、 スラバヤ経由 ジャカルタ • アロール島 • • -クパン