Garuda Indonesia Colours Magazine February 2015 | Page 201

Bandung | バンドン し、 ひとつ問題がある。 ここはまた体重が増えて しまう魅惑の街でもあり、家に帰る頃にはサイズ がひとつ大きくなってしまうのだ。 問題は最高においしそうな食べ物が、 次々と目に 入ってきて食べずにいられなくなるところだ。 ショ ッピングには屋台の食べものと一風変わった飲 食店が付きもので、 (服と同じように) バンドンは 地元の食べものに独特のタッチを加えながら最 高のスタイルを取り入れるのがうまいのだ。 新し くできたパスカル・ハイパー・スクエアやレンバン 水上マーケットなどにある食品市場も手伝って、 この街はインドネシア有数の屋台街になった。 199 バンドンを発つ飛行機に乗る頃には、私は格段 におしゃれになったワードローブとおいしいショ ウガ・ミックスのパックを大量にスーツケースに 詰めていた。服のサイズが小さくなりすぎてしま った後でも、私は自家製のバンドレックをすすり ながら、 ジャワのパリでの思い出に浸り続けてい ることだろう。 「私はバンドンでの暮らしが大好きです」 と、 あ る朝レンバンへ向かう山道を車で走りながら運 転手のディッキー・エスナンデルが話してくれた。 「ここは天候も良く、人々はさらに素晴らしいの で、昔からずっと住むには最高の場所でしたが、 常にもっと良くなっていくばかりです。」 ハイアットリージェンシーでドライバー兼ガイド を務めるディッキーは、数えきれないほどのシン ガポール人やマレーシア人がバンドンに夢中に なってゆくのを見てきた。 しかも近年では、 アウト ドア活動を楽しめる場所としての人気が広がっ たため、 さらに遠くからの観光客が増えているの に気付いたという。 ディッキーと私は明るい朝の光を最大限に活用 しようと、夜明け直後に出発した。 そして私が2 杯目のコーヒーを飲んでいる頃には、 すでに硫黄 が吹き出すタンクバン・プラフ火山のクレーター の上に立っていた。私は斜面を覆う茶畑の美し い緑とグラシアの温泉からの水流に目を奪われ、 3杯目のコーヒーを飲むのを忘れてしまった。午 前の中ごろには、私はすでに温泉や壮大な松林、 エメラルド色のコーデュロイのような茶畑に覆 われた山々にすっかり魅了されてしまった。 バン ドンは、 インドネシア有数のトレッキングの名所 になり得ると実感していた。 この高地地帯で味わえる珍しいご馳走といえ ば、 オオトカゲのサテだ。屋台の主人に野生では なく養殖の肉だと確認した後で、私は意を決して 食べてみることにした。 こってりしたスパイシー なソースが添えられており、 これまで食べた中で 最高のサテだと言えるくらいおいしかった。 それから、極めつけのバンドン名物に出会った。 ようやくまたカフェインがほしくなってきたとき、 ディッキーがバンドレックと呼ばれるものを教え てくれた。 それはショウガにコショウ、 パーム糖( ときには熟し切っていないココナッツも) を混ぜ たもので、最高に爽やかでおいしい温かい飲み 物だった。 おすすめのホテル 嗅覚:硫黄 タンクバン・プラフ火山で、燃える地球の中心か ら噴き出る硫黄のにおいを感じよう。 この地域の 伝説に、永遠の若さを手に入れる秘訣を得たス ンダ族の美しい女性、 ダヤン・スンビの物語があ る。何年も疎遠になっていた息子が戻り、彼女と 恋に落ちてしまうのだが、 結婚の前にダヤン・ス ンビは息子の母斑に気付く。事態を収拾させる ため、彼女は息子に日没までにダムと巨大な船 を作るという不可能に近い難題を課す。 そして完 成させなければ、結婚はできないと告げた。危険 な賭けであったが、息子が実際に不可能なこと を成し遂げてしまうかもしれないと恐れたダヤ ン・スンビ